「どうしてあの人は、あんなことをするんだろう」
「もう、あの人なんて……ころべばいいのに!」
そんなふうに、誰かに対して嫌な気持ちを抱いてしまった女の子。
『ころべばいいのに』は、そんな「嫌な人」「嫌なこと」と、どう付き合っていけばいいのかを、ヨシタケシンスケさんらしいユーモアたっぷりの絵と発想で描いた絵本です。
今回は、娘と一緒に読んでいて「ここが好きなんだな」と感じた場面や、親として読んでみて感じたことを紹介します。
『ころべばいいのに』基本情報
| タイトル | ころべばいいのに |
| 文 | ヨシタケシンスケ |
| 絵 | ヨシタケシンスケ |
| 出版社 | ブロンズ新社 |
| 発行年月 | 2019年 6月 |
あらすじ
主人公の女の子には、どうしても好きになれない人がいます。
嫌なことを言われたり、嫌なことをされたりすると、当然イヤな気持ちになる。
「もう、あの人なんてころべばいいのに」
そんな気持ちを抱えながら、女の子は「嫌な気持ち」をどうしたらいいのか考えていきます。
自分で自分を元気にするために、いろいろな方法を考えていくのですが、その発想がとにかくヨシタケシンスケさんらしい。
「嫌な人とは仲良くしなさい」と正論を言うのではなく、
「嫌な気持ちになったとき、じゃあ自分はどうする?」
という方向に話が進んでいくのが、この絵本のおもしろいところです。
娘が好きなシーン
本当に最初から最後まで面白い絵本ですが、娘が特に好きなシーンをご紹介します!
声を出してストレス発散
娘が特に気に入っていたのが、嫌なことがあったときに、枕に顔をうずめて声を出す場面。
とりあえず声を出してストレス発散をするってよくあることかなと思います。
それがヨシタケシンスケさん独特のイラストと言い回しで面白く表現されているので、ぜひ実際本を手に取って見ていただきたいです。
大人からすると、
「嫌なことがあったら、気持ちを落ち着けようね」
なんて言ってしまいそうなところ。
でも、この絵本ではもっと自由。
「それなら、こうやって発散したらいいじゃん」と、子どもが思わず笑ってしまうような方法を出してくれます。
娘もこの場面が好きなようで、何度も楽しそうに見ていました。
こういう「ちょっと変だけど、たしかにスッキリしそう」という発想が、ヨシタケシンスケさんの絵本の魅力だなと思います。
自分はげましセット
もうひとつ娘が好きだったのが、自分を元気にするための「はげましセット」。
嫌なことがあったときに、自分で自分を励ませるように、いろいろな「ボックス」を作っておくというものです。
たとえば、かわいいものを入れておくボックス、笑えるものを入れておくボックスなどです。
「嫌なことがあったら、これを見よう」と、あらかじめ自分の好きなものを集めておく。
娘は、
「かわいいボックスだったら、これを入れる!」
と、お気に入りのぬいぐるみを準備していました笑
ただ「嫌なことを考えないようにしよう」と言われるよりも、
自分の好きなものを使って、自分で自分の気持ちを立て直す方法を考える。
この発想がすごくいいなと思いました。
親の感想
幼稚園に通っている今でも、これから小学校に上がって、さらに思春期になっていく中でも、きっと「ちょっと苦手だな」と感じる相手は出てくると思います。
どうしても合わない子。
なんとなく嫌だなと思ってしまう子。
たぶん、そんな相手と出会うこと自体は避けられないんじゃないかなと思います。
だからといって、
「みんなと仲良くしなさい」
と言われても、なかなか難しいですよね。
大人だって、すべての人と仲良くできるわけではありません。
だから私は、この絵本の
「嫌な人がいてもいい。でも、そのとき自分はどうする?」
という考え方がすごくいいなと思いました。
嫌な気持ちを無理やり消そうとするのではなく、まず「嫌だな」と思ってしまう自分の気持ちを受け止める。
そのうえで、自分を励ます方法を考えてみる。
そうやって、自分の心を自分で守る方法を少しずつ覚えていけたらいいなと思います。
大人が真面目に説明しても、子どもにはなかなか伝わらないことってありますよね。
でも、ヨシタケシンスケさんは、それをちょっと笑える絵と独特の言い回しで見せてくれる。
ネガティブな気持ちを「そんなこと考えちゃダメ」と否定するのではなく、
「じゃあ、どうしたらちょっと楽になれるかな?」
と、少しだけ前向きな方向へ連れていってくれる。
そんなところが、この絵本のすごくいいところだと思いました。
まとめ
嫌なことがあったときの「自分の守り方」を教えてくれる絵本
『ころべばいいのに』は、単純に「嫌いな人が出てくる絵本」ではありません。
嫌な人がいたり、嫌なことがあったりしたときに、自分の気持ちとどう付き合っていくのか。
そして、自分で自分を励ますにはどうしたらいいのか。
そんなことを、子どもと一緒に楽しく考えられる絵本です。
「みんなと仲良くしなさい」と言うだけではなく、
「どうしても合わない人がいるときもある。そんなときは、自分の心をどう守ろう?」
と考えさせてくれるところが、私はとてもいいなと思いました。
これから娘が小学校や、その先の学校生活でいろいろな人と出会っていく中で、この絵本に出てきた「自分を励ます方法」を少しでも思い出してくれたらいいなと思います。
こんな本もあります|『りんごかもしれない』
ヨシタケシンスケさんの絵本が好きなら、『りんごかもしれない』もおすすめです。
「目の前にあるりんごが、実はりんごじゃないとしたら?」
そんなところから、どんどん想像が広がっていきます。
こちらも答えを決めつけず、子どもの自由な発想を楽しめる一冊です。
我が家で実際に読んだ感想も紹介しています。
↓『りんごかもしれない』の絵本レビューはこちら
